名古屋市東区にある、とある事務所。毎時0分になるとアラームが鳴り、約40名の社員が一斉に手を止め、腕立て伏せ、スクワット、腹筋、さらには逆立ちを行う奇妙な光景が繰り広げられます。イルチブレインヨガというブランドをはじめとして、日本で20年間脳教育という健康ビジネスを展開している株式会社ダンワールドジャパンの非凡な日常です。1日に約10回、体力・心力・脳力の管理のために1分間行う1分運動は、現在全国約100店舗あるイルチブレインヨガスタジオの会員をはじめ、ブレイン体操を習っている多くの人々が、自宅や会社などで実践しており、ブレイントレーナーが一人ひとりに必要な1分運動を指導、管理しています。

脳教育って、何でしょう? ダンワールドジャパン代表取締役 周載玄氏に尋ねてみました。

ダンワルドジャパンが20周年えたときしました。おめでとうございます。

ありがとうございます。皆さまに支えられて20周年を迎えることができました。ですが、まだ道半ばだと思っております。長い歴史を土台に弛みなく社会発展に貢献している日本の多くの企業をお手本にして、これまでの20年を礎に、これから100年、200年先を見据え、脳教育を通して人類の健康、幸せ、平和に寄与したいと思っています。

脳教育というのはあまり聞き慣れない言葉ですが、どのようなものでしょうか?

ダンワールドジャパン脳教育は、健康、幸せ、平和を創造するために、人間の脳の潜在能力を引き出し、活用する教育です。人間の本質的な価値を自覚し、実現するための哲学、原理、方法を研究する融合的な学問として体系化されています。イルチブレインヨガで行っているトレーニングは、脳教育の方法の一つです。ブレイン体操とブレイン瞑想に代表される心身健康プログラムで、体、心、脳のバランスを回復し、自然治癒力を活性化させることにより、健康の本当の意味と価値を見出し、夢を実現できるようにサポートしています。実際に、多くの方が脳教育トレーニングによって様々な変化を体験していらっしゃいます。体の調子がよくなかった方は、自然治癒力が活発に働きはじめて健康を取り戻し、もともと健康だった方は、より元気に体と心を管理し、周りの人をケアしたりサポートしたりしています。最もよく聞くのが、芯が強くなって周りの状況に振り回されなくなったという声です。これは、ブレイン瞑想で得られる重要な感覚です。脳教育トレーニングは、東洋医学と脳科学を融合して作られた心身健康プログラムで、フィジカルの面でもメンタルの面でも健康に役立ちます。

脳教育トレーニングは、他の運動とどう違いますか?

360種類あるブレイン体操は多様ながらも自然な動きで構成されており、脳をはじめ全身を流れるエネルギーの道、経絡が滞りなく流れるのを助けます。自然治癒力がしっかり働いている瞑想状態で体の内からあふれてくる動きによって考案されたトレーニングなので、自然で難しくない動作なのに効果的だと好評です。脳の血流をスムーズにし安定させる脳波振動というトレーニングも人気です。ブレイン体操と脳波振動で体の隅々まで新鮮なエネルギーを運んだ後に、ブレイン瞑想をします。ブレイン瞑想の基本は、生命の源である気エネルギーの感覚を目覚めさせ、感情に振り回されることなく「今ここ」に存在していることを自覚するエネルギー瞑想です。このエネルギー瞑想だけでも深い瞑想を体験する方もいらっしゃいます。基本プログラムに入っているので、会員のみなさまは当たり前のように毎回しているエネルギー瞑想ですが、実はけっこうレベルの高い瞑想です。潜在的なパワーや知恵を発揮できるようになります。


体を動かすトレーニングと瞑想を複合的に運営されているのですね。

はい、そうです。人間のすべての生命活動は脳から始まっており、身体活動と心・意識は別々ではなく一つだと、現在では科学でも言われる時代になりました。20年前はそういったことがなかなか理解されませんでしたが、今後は脳教育が人類の脳の省察と活用の先駆的な役割をすることになると思っています。脳教育は人間完成学とも言えます。トレーニングによって、体の健康を基本として洞察力や直感力の向上、自己省察や人間性回復、自己価値の発見などを実際に体験できる融合的な分野です。健康とは、個人的な体と意識の健康だけでなく、社会的な健康も含んでいます。

社会的な健康というのは、人間関係の改善のようなことでしょうか? うつ、自殺、高齢化による社会的孤立などの社会問題とも関係がありますか?

社会的な健康は様々な分野で協力して解決していかないといけないとは思いますが、うつ、自殺、社会的孤立などの社会問題は、システム的な問題は当然あるとはいえ、基本的には個々人がどれほど健康に人生を創造していけるかにかかっていると見ています。「私の体は私ではなく私のもの」であり、「私の心は私ではなく私のもの」だという主人意識で自らを管理し、コントロールできる力を育てる必要があると思います。だから、体力、心力、脳力を育てるのです。体力、心力、脳力は、社会のあらゆる分野で、教育的な面においても、生産的な面においても欠かせない条件です。そういった面で社会のお役に立ちたいと思い、私たちはブレイントレーナーをはじめとした講師の育成に力を注いでおり、現在約1,500名の講師がイルチブレインヨガのスタジオ以外でも、企業、学校関連施設、文化センター、公民館、町内会、老人ホーム、公園など約500か所で、ボランティアも含め、ブレイン体操の指導をしています。ここ3年で約5万人がブレイン体操を体験しており、脳教育の活動は、国際脳教育協会を通して国連グローバル・コンパクト加入団体として定期的に報告書が提出されています。今後もより活発に地域社会の健康文化に貢献していく所存です。

最近の大きな課題には、超高齢社会における健康寿命の問題が挙げられます。8年後の2025年には認知症予備軍を含む認知症1,300万人時代がやってくるとされています。早期対応にカギがあるとして運動と脳トレーニングを組み合わせた運動療法などを取り入れる試みもあるようですが、それに対して脳教育はどのように役立つでしょうか?

ダンワールドジャパン超高齢社会は、日本だけでなくグローバルな問題でもありますね。1分でがん細胞を破壊する光免疫療法が開発され、日本でも数年で実用化される見込みともいいますし、今後ますます人間の寿命が延びていくのは明らかです。寿命が長くなればなるほど、いかに健康で価値ある毎日を過ごせるかが大きな課題になってきます。脳教育トレーニングは子供から年配の方まで幅広く適用でき、高齢の方でも無理なくご自身の体に合わせてトレーニングできるように考案されています。プログラムは脳活性にもとづいて構成されており、特にブレイン瞑想は眠っている脳の感覚を目覚めさせるので、健康な体と脳の維持にとても役立ちます。実際に90代の方も元気にトレーニングをしていらっしゃいます。60~70代の中には、地域社会でブレイントレーナーとして活躍している方も多いです。ブレイン体操が高齢化問題などの解決策のひとつとして、社会全般の健康、幸せ、平和に寄与できる可能性は無限に開かれていると思いますので、今後も鋭意努力してまいります。

最後に今後の抱負をお聞かせください。

これからもブレイントレーナー一同、社会の体力、心力、脳力を育てるために、真心で全力を尽くしてまいります。100年、200年先にもみなさまに必要とされる企業になれるよう、跳躍していきたいと思います。また、こども脳教育など、様々な分野で事業を展開してきます。ダンワールドジャパンは、会員のみなさまが育ててくださり、成長させてくださった企業だと思っておりますので、感謝を込めて脳教育を通して社会に還元し、会員の方々の意見に今まで以上に耳を傾け、心通い合う企業文化をつくっていきたいと思っております。